蒼 穹

 16. 国際科学技術庁の究極の目的

「核融合炉!?」大人たちの声が揃うのを、少年は夢見心地で聞いた。核融合炉?  なんだそれ。


「きみたちが知っている原子力とは核分裂反応だ。ウランやプルトニウムの原子核が分裂することでエネルギーを生み出す。重い原子に中性子をぶつけて軽い原子を作る事でエネルギーを得るのだな。
 一方、核融合とは。水素やヘリウムのような軽い元素の原子が原子核の状態同士で結合し、より重い一つの原子核に変化する反応のことだ。
 核分裂も核融合も、原子自体が変化し、その際に大きなエネルギーが発生するのだ。単純に比較することはできないが、核融合は、核分裂のおよそ4倍のエネルギーを放出することがわかっている。たった1グラムの核融合は石油8トンの燃焼に相当するというのだ。
 そして、原料だが。
 核分裂にはウランのような特殊な元素が要るのに対し、核融合に必要なのは水素の仲間だ。水だ。水さえあればいいのだよ。
 この原料の違いは大きい! よく知られているように、核分裂反応の場合、有害で危険な放射性物質ができる。
 核融合反応ではまったくできないわけではないが、比べ物にならないくらい、微々たるものだ。

 このように核融合はいいことずくめに見える。だが、ひとつ、困ったことがある。融合反応を起こすのに原子力発電級の、莫大なエネルギーがいるのだ。核融合を起こすために核分裂を利用したエネルギーがいるという……そのパラドクスを……

 この装置は!  ギャラクターは!  二十年以上も前に解決していたのだ!  なんというセンス!  なんという技術力!  国際科学技術庁の究極の目的だった無公害エネルギーを二十年も前にギャラクターは――!」




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